
皆さんは、夜中にトイレで目が覚めることはありませんでしょうか? 20~30代の頃は、俗に言う「爆睡」で一度も目が覚めることなく熟睡できていたはずですが、40代以降ともなると、どんなに疲れていても
就寝中に一度は必ずトイレで目が覚める!
という方が増えてくるはずです。
実はこれ、就寝中にトイレで目が覚めてしまうことを「夜間頻尿」といい、医学的な定義としては
就寝中に排尿のため1回以上起きてしまうこと
とされた、れっきとした頻尿症状なのです。
実際のところ、暑かったり寒かったりといった就寝環境にも左右されるかもしれませんが、夜間頻尿が起こる要因の多くは「加齢」であり、加齢による腎臓を含めた泌尿器の機能低下はもちろんのこと、就寝中に尿の生成を抑制する
バソプレッシンと呼ばれる抗利尿ホルモン(ADH)の減少
なども要因として挙げられるため、頻尿は言わば中高年の生理現象と言っても過言ではありません。「▼これって頻尿?中高年から増える頻尿の基礎と原因」でもご紹介しておりますが、加齢による頻尿は
決して、寒いからとか水分を摂り過ぎたから、といった外的要因だけのお話ではないのです。ただ、いざ夜間頻尿と言われても、正直あまりピンと来ないのが実情・・・。実際に「別に就寝中にトイレに行きたくなったら行けばいいだけ」と思いがちですが、
実はここには思いがけない健康リスクが潜んでいる
ことは、あまり知られていないのです。
今回は、そんな何気ない夜中のトイレ「夜間頻尿」にスポットを当て、夜間頻尿のメカニズムから、あまり知られていない健康リスク、そして改善策などについてご紹介していきます。男女問わず、頻尿や尿漏れといった老化現象のなかでもデリケートな問題は、
その事実と向き合うのがなかなか難しい課題
ではありますが、頻尿が招く二次的な健康リスクを考慮し、早いうちから知識と認識を高め、対策を講じていくようにしましょう。
就寝前にちゃんとトイレに行っているのに、深夜に尿意を催して目が覚める・・・ 40~50代くらいになると、そのような症状を自覚する人が増えてくる傾向にあります。ただ、実際にトイレで目が覚めたところで、
またすぐ寝れるから問題ない
というのが本音で、夜中にトイレで目が覚めること自体を重く捉えることはあまりないかもしれません。
つまり、極端なことを言えば、夜中に3回もトイレで目が覚めたとしても、自分自身が困っていなければ治療の必要はないのですが、
自分自身で体の変化に気づいていない場合も多い
ので、就寝中の尿意を軽視してはならないのです。
夜間頻尿の原因においては人によってさまざまであり、
・夜間多尿
・膀胱容量の減少
・睡眠障害 など
に分類することができますが、夜間多尿は高齢者にとって避けられない症状のひとつであるほか、膀胱容量の減少や不眠症などの睡眠障害なども、加齢と大きく関わってくる問題です。つまり、夜中に何度かトイレに起きることで
良質な睡眠が取りにくくなる
という点に留意する必要があります。
年齢と共に睡眠時間が減っていく・・・
ということは睡眠特集「▼最適な睡眠時間って何時間?自分に合った良質な睡眠とは」でもご紹介しておりますが、これは加齢によって基礎代謝が低下することで、必要な睡眠時間も短くなるからであり、夜間頻尿による睡眠の質低下とはまた別の問題。
相対的に、就寝中に2回以上トイレで目が覚めるようになってくると、
日中の活動にも影響が出始める傾向
にあり、注意力・集中力の低下や日中の突然の睡魔、免疫力の低下など、生活の質(QOL)の低下を自覚するようになってきます。夜間頻尿は、老化現象でもありますので、ある意味「致し方ない」部分でもありますが、それに伴う
良質な睡眠の阻害という悪影響
があることを踏まえ、就寝前に利尿作用の高いコーヒーやお茶などを控えたり、どうしても水分を欲する塩分の高い食事を控える、といった心がけも大切になるということを意識するようにしましょう。
上記のとおり、夜間頻尿と睡眠障害には高い相関関係があることが分かりましたが、
・眠りが浅いから夜間頻尿なのか?
・夜間頻尿だから眠りが浅くなるのか?
といった点については見極めが難しく、専門医の受診が必須と言っても過言ではありません。ただ、眠りが浅い状態ですと、実際に
体は寝ていても脳が休んでいない覚醒状態
となるため、必然的に尿が作られやすく夜間多尿になる傾向にあります。
上記でも触れましたように、人間は夜間就寝時に抗利尿ホルモン(ADH)が分泌されることで濃い尿を作って尿量を減らすようになっています。朝、排尿する際に尿の色が濃いのはそのためですが、加齢によって抗利尿ホルモンの分泌が減少したり、睡眠自体が浅くなると、当然尿量が増えてしまい尿意を催しやすくなります。
睡眠自体が浅くなる要因としては
・加齢に伴う日中の活動量の減少
・心配事やストレスなど心因性によるもの
・女性の場合は閉経に伴うホルモンバランスの急激な変化
・肥満などを背景とした睡眠時無呼吸症候群(SAS)
・就寝前の飲酒
などが挙げられ、加齢症状以外の要因の多くは生活習慣に起因している部分も多いのです。
例えば日中の活動量の減少においては、適度な運動習慣を身につけ、肉体的に疲れた状態を作ることで良質な睡眠につなげることができますし、肥満などによる睡眠時無呼吸症候群も、基本的には運動不足であったり、栄養の偏りであったりと
生活習慣病との関わりが高い要因
と言えるでしょう。
夜間頻尿自体は、ひとつの症状であって病気ではありませんが、上述のとおりそれに伴う睡眠の質の低下や寝不足によって、
それ以外の健康リスクを高めてしまうのが実情
加齢による機能低下や女性においては更年期による不眠といった致し方ない部分もありますが、飲酒や喫煙、就寝前の水分摂取、塩分控えめな食事、適度な運動といった生活習慣に関わる部分は、ある程度ご自身でコントロールできる範囲です。
就寝中、何度もトイレで目が覚めるといった自覚があるようでしたら、一度生活習慣や食生活そのものを見直してみることも大切だということを覚えておくようにしましょう。
記事監修:久保 明 医学博士
医療法人財団百葉の会銀座医院 院長補佐
東海大学医学部医学科 客員教授
日本臨床栄養協会 理事長
元 厚生労働省薬事・食品衛生審議会 専門委員
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