
健康的な日常を送るためには、規則正しい生活、適度な運動習慣、バランスの取れた食事、良質かつ十分な睡眠、といった点が必要なことは、多くの方が理解しているかと思います。ただし、現代社会においては
理想的な生活習慣を継続させるのが難しいのも事実。
生活スタイルや仕事の在り方などが多様化している現代においては、必ずしもこれらが健康を維持するための必須事項ではないかもしれませんが、基本的には慢性的な運動不足や不摂生な生活、栄養の偏った食事を続けてしまうと
糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まる
ということは言うまでもありません。
特に加齢といった体の変化や機能低下が顕著となる40代以降の中高年においては、日頃から健康的な生活を意識しなければならない年代かと思いますが、一方でもっとも働き盛りで、仕事や私生活などが充実するのも30~50代ではありますので、毎日の忙しさなどを要因に、
健康維持に対する意識や優先度が低下してしまう傾向・・・
加齢現象が顕著になってくる40代からは、少なくとも
などを心掛けたいとこではあります。
ところで、皆さんはこの健康維持に必要とされる「適度な運動習慣」は身についていますでしょうか?
40代以降、加齢による体の変化においては、老眼や白髪などだけに留まらず、体全体の筋肉量が減少していくことは、「▼加齢による筋力低下と体重増が膝への負担に」でもご紹介しておりますが、加齢によって筋肉量が減少することで膝関節への負担が増え、結果的に膝痛リスクが高まることは言うまでもありませんが、
実は運動習慣があっても膝痛を引き起こす可能性
があり、運動が必ずしも膝痛対策になるわけではないということを認識しておく必要があります。
これまで、主に運動習慣がない方にフォーカスしてきましたが、このページでは運動習慣がある人でも膝痛に見舞われるリスクがあるという点にスポットを当て、膝痛を引き起こさないための対策や心掛けについてご紹介していきます。
え?自分は定期的に運動してるから問題ないと思ってた・・・
という人は、それなりに体力や健康に自信があると思いますが、膝は運動習慣の有無にかかわらず常に働き続けているわけですので、その負荷と筋力の兼ね合いも重要だということをこのページで理解を深めていきましょう。
中高年における膝痛においては、主に変形性膝関節症であることが多いことは、▼中高年から増える膝痛の種類と原因でもご紹介したとおりですが、加齢を要因とした膝痛においては
1,軟骨の擦り減りが原因の変形性膝関節症
軟骨が擦れて削れていくことで、初期段階ではその削れた破片が骨膜を刺激して痛みが生じる程度ですが、中期・進行期に進むにつれ軟骨が完全に消失すると、大腿骨と脛骨が直接干渉するようになり激しい痛みに見舞われます。
2,膝のクッションの役割を担う半月板の損傷
大腿骨と脛骨のそれぞれの軟骨の間にある半月板も加齢と共に削れやすくなり、摩耗したり割れやすくなることで痛みを生じます。半月板損傷の多くは自然に回復することがないため、治療としては縫合したり切除したりしますが、実際の治療としては切除せず、運動療法などで保存することが多いです。
なお、膝痛を伴うもう一つの症状として「靭帯損傷」が挙げられますが、
靭帯損傷においては加齢や膝負荷の蓄積では起こらず
激しいスポーツや交通事故などによる強い衝撃によってのみ損傷・断裂する場合があるため、靭帯の痛みの原因が加齢であることは限りなく低いようです。
上記のとおり、同じ膝痛であっても軟骨なのか半月板なのかの違いがあり、軟骨の擦り減りは徐々に痛みが出てくるのと対照的に、半月板損傷はある日突然強烈な痛みに見舞われるといった特徴があります。なお、
軟骨も半月板も基本的には再生することはありません。
ただ、軟骨には血管や神経がないのに対して、
半月板は全体の1/3程度に血管が存在し栄養が送られる
ため、血管が存在している箇所の損傷は修復される可能性がありますが、血管のない箇所を損傷すると修復が難しくなります。もちろん、加齢や負荷の蓄積によって損傷しやすい箇所は血管のない内側の半月板が多い傾向にあり、軟骨の擦り減り同様に
筋力強化などによる運動療法が取られる
ケースがほとんどです。
ここで、実際に半月板を損傷したことのある編集部スタッフの体験談をご紹介します。
【半月板損傷のスタッフ体験談】
損傷時の年齢:46歳・男性
運動習慣:毎週末40~50km程度のジョギング
運動習慣歴:20年超
ある日の朝、出勤時に走って横断歩道を渡ろうとした際、道路上で立ち止まってしまうほどの激しい膝痛を感じ、その場で身動きが取れなくなりました。
多少落ち着いてから、痛みを我慢しつつ整形外科に・・・。膝関節の状態確認は、レントゲンやCTでは写らないため、後日MRIを撮ったところ診断結果は「半月板損傷」。
日本人はO脚が多く、O脚だと膝の内側に負担が掛かり続けるため、内側の半月板が損傷することが多いとのこと。半月板損傷は、激しい運動や衝撃、急激な膝への負荷などが原因であることが多いようですが、加齢などで半月板が変形していたり、水分が失われていたりすると、軽い日常生活程度の動作でも損傷することがあるようです。
損傷後は1か月程度安静にして、痛みが和らいできたころから、空気イスや水中ウォーキングなど、膝の負担の少ない運動で膝周辺の筋肉強化を続けています。
このように、若い頃から運動習慣があるほど、長年に渡る膝への負担が蓄積され、加齢による組織の変性も相まって、半月板損傷や変形性膝関節症などを引き起こす可能性があるのです。
運動習慣があるからといって膝痛とは無縁というわけではない
という点は認識しておくようにしましょう。
加齢に伴う膝痛の最大の課題と言えば
という点が挙げられます。
加齢によって膝関節の軟骨や半月板は柔軟性を失い(変性)、擦り切れたり、ちぎれたりしやすくなるため、
運動習慣の有無を問わず膝痛が生じる可能性
があるのです。
そのリスクをできる限り抑えるべく、日頃から膝への負担を軽減するための心がけが必要となり、「膝が痛い→安静にする→筋力がさらに衰える」という悪循環に陥らないよう、日頃の運動習慣が重要な要素となることは言うまでもありません。
ただし、運動なら何でも良いか?というとそういうわけではなく、特に急な方向転換が必要となるサッカーやフットサル、テニス、バスケなどは、特に膝への負担が大きいスポーツ。また上記例のとおり、ジョギングもある程度下肢の筋力がないと、直接膝に負荷が掛かってしまい、軟骨や半月板を痛めやすくなってしまいます。
40代以降になると、
「運動習慣を身につけよう!」と奮起される方も多い
かと思いますが、やはり筋力だけでなく体の柔軟性なども加齢によって低下していることを考慮すると、いきなり動作の激しいスポーツは避けたいところで、ウォーキングや水泳など、膝の負担が少ない運動から習慣化させていくのがベスト。
もちろん大前提として、肥満などの生活習慣病の改善および体重を減らすことが必須となりますので、食生活の見直し・改善を図りつつ、それと同時に大腿四頭筋などの下肢筋肉を強化すべく、スクワットなどの筋トレを
ゆっくりと負荷を掛けて行うスロートレーニングがおすすめ!
特に中高年の方については
運動しなきゃ→とりあえずジョギング→膝が痛いからやめる
というパターンに陥らないよう、まずは自身で衰えた下肢筋肉を取り戻すべく負荷の少ない運動や筋トレに慣れ、徐々に負荷を増やしていく(ジョギングなら距離や時間を伸ばしていく)ことが肝要。実は自身で思っている以上に筋力は低下しているもの。
高齢者の方も、山登りがブームだからといって安易にハードなトレッキングに挑んだりすると、多くの場合で膝が痛くなったり、転倒して怪我したりすることが多いのは、筋力が低下しているからなのです。
膝痛対策は、焦らず徐々に積み重ねて強化していくことが重要だということを意識しておきましょう。
記事監修:久保 明 医学博士
医療法人財団百葉の会銀座医院 院長補佐
東海大学医学部医学科 客員教授
日本臨床栄養協会 理事長
元 厚生労働省薬事・食品衛生審議会 専門委員
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