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口臭発生のメカニズムと原因細菌

口臭は歯磨きだけで防げる訳じゃない~口臭発生のメカニズム

年代問わず、身近なエチケット問題のひとつとして挙げられる「口臭」。 巷では「スメハラ」(スメルハラスメント)という言葉が台頭するほど、ニオイに対する社会的配慮の必要性が叫ばれている現代社会ですが、実際に体臭や口臭に限らず

自身のニオイに対しては自分では気づきにくい

という嗅覚順応の性質もあることから、ニオイ対策も後手に回りやすいのが実情かもしれません。

特に口臭においては、「毎日ちゃんと歯磨きしているから口臭なんてするはずない」と思っている方が多いのですが、むろん口臭は歯磨きだけで防げる訳ではなく、様々な要因で口臭が発生することを理解する必要があります。

口臭に対する理解を深めるためには、主な口臭原因を知るところから始まりますが、やはり一番の口臭要因は、口腔内の細菌によってタンパク質が分解される際に発生する硫黄ガス(VSC)。続いて多い原因は虫歯や歯周病によるVSCの発生、そして加齢を背景とした唾液減少による洗浄や抗菌作用の低下、その他、胃酸過多や便秘も口臭の原因になることがあります。

これら口臭原因をしっかりと理解し、口臭が気になるようなら「自身の口臭は何が原因になっているのか?」というところを突き詰めてからが、本格的な口臭対策のスタートになるのです。

口臭の正体は硫黄ガス!~悪臭産生菌の種類と増殖しやすい口内環境

言うまでもありませんが、基本的に人間は生きるうえで口から食事を摂ります。
口腔内には、一定の細菌が常在菌として常駐しておりますが、口から摂取したタンパク質が細菌によって分解されると、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(VSC)が発生します。これが口臭発生の基本メカニズムです。

食事においては、むろんタンパク質以外の炭水化物なども摂取するわけですが、とりわけ口臭原因となるのがタンパク質の分解で、口腔内に残った食べかすや剥がれた粘膜、血中タンパク質などを栄養分として活動を活発化させます。
少々リアルな話になってしまいますが、このVSCは主に3つのガスに分類され、そのニオイの特徴は以下の通りです。

一般的な口臭が硫化水素の発生で、タンパク質中のシステインといった硫黄含有アミノ酸が分解されて生成するのに対して、メチルメルカプタンは重度の歯周病や舌苔などが原因で生成され、口臭のなかでも腐敗臭といった非常に不快なニオイを発します。ジメチルサルファイドは、便秘や胃腸不良など口腔内以外の要因であることが多く、呼気として肺からも排出されやすいのが特徴です。

つまり、食後に歯磨きをすることで硫化水素の発生は抑制できますが、メチルメルカプタンの腐敗臭は、真っ先に虫歯や歯周病が疑われるほか、ジメチルサルファイドもまた歯磨きだけでは解消できない口臭ということを理解する必要があります。

口臭の正体~揮発性硫黄化合物の種類

硫化水素(H₂S)

硫化水素(H₂S)

腐った卵、硫黄臭が特徴。硫黄含有アミノ酸が分解されて生成される。

メチルメルカプタン (CH₃SH)

メチルメルカプタン (CH₃SH)

虫歯や歯周病の進行によって増える物質。強烈な腐敗臭で病的口臭のひとつ。

ジメチルサルファイド ((CH₃)₂S)

ジメチルサルファイド ((CH₃)₂S)

都市ガスの漏洩防止用の着臭材と同じ成分で、下水や磯臭さのような臭気が特徴。


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実は口内環境も加齢の影響?!40~50代から歯周病が増える理由

前段のとおり、口臭は世代を問わず発生する可能性があり、逆に生活習慣が不規則で乱れやすい若年層の方が、その口臭がキツくなるリスクが高いように思えますが、実は中高年もまた年齢と共に口臭がキツくなる傾向にあります。言わば、

老化現象の一つとしての口臭

とも言えますが、加齢と口臭にはどのような因果関係があるのでしょうか?

もちろん、年齢を重ねるごとに歯の治療歴も増えてきますし、詰め物の隙間に汚れが蓄積されやすかったり、加齢性退縮によって歯茎が下がり、歯根の虫歯になりやすくなるといった背景もありますが・・・

実は、その原因の多くは唾液量の減少。

もちろん、口臭原因でもありますし、虫歯や歯周病の原因ともなりうるのが唾液量の減少です。年を重ねるごとに唾液腺の機能が低下する、水分摂取量が減少する、自律神経が乱れるなど、加齢による様々な変化の影響を受けて唾液の分泌量が大きく減少します。

まさか老化現象の影響が口臭にまで及ぶというのは意外かもしれませんが、口臭が気になって一生懸命歯を磨いたり、部分入れ歯などをまめに掃除したりしても、原因がそこではない場合も多いのです。中高年からの口臭対策は、歯の治療はもちろん、こまめに水分補給を行って口腔内を乾燥させないよう意識しましょう。

加齢によって口臭リスクが高まる主な原因

歯の治療歴が増える・劣化する

歯の治療歴が増える・劣化する

唾液量が減少し口腔内が乾燥

唾液減少~口腔乾燥や舌苔増加

口の筋肉が緩み口呼吸が増える

口の筋肉が緩み口呼吸が増える

代謝の低下・自律神経の変化

代謝の低下・自律神経の変化


歯周病は中高年の8割以上が抱える国民病~定期的な歯科検診を

口臭原因の多くは、虫歯や歯周病といった口腔内の環境悪化によるもので、さらにその要因を掘り下げると、加齢による唾液量の減少であったり、治療痕の劣化であったりと、

自身でできる歯磨きなどのメンテナンスでは解決できない要因

であったりする可能性もありますので、その要因を一つずつ潰していくことが結果的に口臭解消につながります。

前段のとおり、世代によって口臭原因が異なりますし、胃や腸などの消化器系の健康状態などによっても左右されるのが口臭。現時点で特に口臭がなかったとしても、日々の手入れが重要であることは改めて説明の余地がありません。

一般的なイメージとして「オジサン=口が臭い」といった印象が広まっていますが、前述のとおり、これは実際に中高年層では口臭原因となる要因が増えるためで、必ずしもオジサンに限った話ではありません。加齢による唾液量の減少や、口のまわりの筋肉の緩みによる口呼吸の増加は、老化現象として避けられない加齢変化ではありますが、重要なのは

自身で対策・改善できる口臭要因はしっかり解消する

ということが肝要で、特に中高年から急速に高まる歯周病においては、定期的な歯科検診によってメンテナンスすることが可能です。もちろん口臭原因の抑制にもなりますし、口腔内環境を健全に保つという目的もあります。口臭解消のアプローチを歯磨きだけに求めるのではなく、定期的な歯科検診やこまめな水分補給、生活習慣の改善などトータルケアを意識することで、口臭は抑制できるということを覚えておきましょう。


まとめ

【口臭発生のメカニズムと原因細菌・まとめ】

  • 口臭の発生要因は虫歯などの口腔内起因とは限らない。
  • 口臭の正体はタンパク質が分解される際に発生する硫黄ガス。
  • その他の口臭要因として胃酸過多や便秘も挙げられる。
  • 自身の口臭原因をしっかり把握することが重要。
  • 悪臭産生菌の主な種類は硫化水素やメチルメルカプタン 。
  • 中高年から口臭がキツくなるのは加齢による唾液量の減少。
  • 唾液量が減少することで虫歯や歯周病にもかかりやすくなる。
  • 口呼吸など口腔内が乾燥することで口臭原因の細菌が増える。

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